自傷行為(じしょうこうい)とは自らの身体を意識的・無意識的に拘らず傷つける事を言う。日本ではリストカットが有名である。虐待のトラウマや心理的虐待及び摂食障害、低い自尊心や完璧主義と正の相関関係があると考えられている。自傷行為は多くの場合文化的タブーとされる。
自傷行為は、深刻な症状であるにもかかわらず、“精神障害の診断と統計の手引き (DSM-IV TR)”では公式の疾患名としては認められていない。治療は欧米では認知行動療法が主体であり、また味付けとして薬物療法が行われるが、なかなか治りにくい(治療抵抗性が高い)。背景となる疾患がどのようなものであるか(一例として境界性人格障害、統合失調症、知的障害などが挙げられる)によっても治療方針は全く異なってくるので患者本人および家族に自傷行為についての誤解を解いてもらうことなど、その評価が非常に重要である。
脳の器質的障害が原因とされる発達障害の一種の自閉症にも自傷と呼ばれる行動障害があり、自分の手を噛む、壁や床に頭を打ち付ける、自分の顔を叩くなどの行動が見られることがある。
PattisonとKahan(1983)がDeliberate self-harm syndrome(故意に自分の健康を害する症候群)という概念を提唱し、その3徴候として、「薬物の乱用または依存」、「自傷」、「食行動異常」を挙げた。女性では摂食障害の60?70%に自傷行為を、また男性では薬物乱用の50%以上に自傷行為を伴うとされており、共通の病理、または共通の行動化要素としての関連が考えられる。タトゥー、ボディピアスなどの「身体改造」も広義では自傷行為に含まれると考えられているが、社会的、文化的側面もあるため簡単には断言できない。
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欧米では長らくself-mutilationという語が使われていたが、mutilation(切断すること)だけが自傷行為ではないことが認識されるに従い、現在ではself-injuryという語に置き換わりつつあるようである。
推測ではあるが、リストカッターの少なくとも半数が性的虐待の被害者であるともいわれる。リストカットは1960年代に主としてアメリカの女性に見られ、社会問題となった。自傷行為経験者は若い未婚の女性に多く、男性にも一定数存在する。常習性が高く、周囲の理解も得られにくいために長期間苦しむことも多い。カナダ放送協会 (CBC) が500人のスクールカウンセラーに過去1年間に診た自傷者数を尋ねてみたところ、各校に2〜3人いるという回答結果が得られ、非公式な調査結果ではあったが、その発症率は女子250人に1人とされた。
また、近年は更なる発生率が示されており、英国のオックスフォード地区、ノーザンプトン地区、バーミンガムの学校41校の6000人の15歳と16歳の生徒を対象に2000年と2001年に行われた大規模な研究によれば調査が行われた年の前年に自傷行為をしたと報告したのは少女が11%、少年は3%であったという。スラッシュ(切り付け行為)(65%)が自己虐待の方法としてもっとも多く、過剰行為(31%)がそれに次いだ[1]。
欧米の研究者によると大体6割程度に親からの虐待の事実が認められるとされるが、残り4割には認められない。